懸垂がなぜダイエットと関係してくるのでしょうか。それを知るにはまず、ダイエットの鉄則である、消費カロリーと摂取カロリーの関係について理解しておく必要があります。

世の中にはいろいろなダイエット法があふれていますが、シンプルに考えた場合、次のような公式に当てはめることが可能です。すなわち、「消費カロリー＞摂取カロリー=体重が減る」ということです。

痩せるために必要なこととは、簡単に言えば運動などをして消費カロリーを増やすか、食事制限をして摂取カロリーを減らすかの二者択一ということなのですが、摂取カロリーを減らすダイエット法はリバウンドの危険性が大きいためあまりお勧めできません。

食事制限が危険な理由はひとことで言えば、摂取すべき栄養が不足してしまうことです。そして、食事量が減って栄養不足になると、脳は危険を覚えて少ない食事から最大限の栄養を摂取しようとリモデリングします。

その結果、以前よりも少ない量で賄えるようになるのですが、逆に言うと、以前と同じ食事量にすると太ってしまうということもできます。これがリバウンドの死雲です。

また、運動をせずに食事制限のみで体重を落とした場合、脂肪が落ちる以上に筋肉が落ちてしまいます。食事制限をしては筋肉が落ち、リバウンドしては食事胃を減らしてまた筋肉が落ちる…。食事制限によるダイエットはこういった悪循環を招いてしまうのです。

食事制限によるダイエットの危険性は分かって頂けたと思います。もちろん、普段から食べ過ぎな人は食事制限する必要がありますが、それ以外の場合には食事の量ではなく、質を改善しながら運動も行うことが欠かせません。

それでは、懸垂はなぜダイエットをする時におススメの方法なのでしょうか。実は懸垂には、時間と効果という2つの面からのメリットがあります。

ダイエットをする時に、簡単な方法はウォーキングをしたり走ったりすることです。ただし、それなりのカロリーを消費しようとすると、かなりの時間を費やすことが必要となります。それに比べて、懸垂の場合はわずか数分から長くても10数分程度で終わってしまいます。

懸垂運動は、例えば5km走るといった場合と比べると、その時の消費カロリーでは格段に低い運動です。ただし、懸垂運動によって筋力がアップすると、ダイエットに必要な基礎代謝が向上します。

基礎代謝とは、何もしていなくても1日の間に消費するカロリーのことをいいます。懸垂によってこの基礎代謝がアップすれば、太りにくい体質をゲットすることが可能となるのです。

懸垂と言うと腕の筋肉を使って行う運動のようなイメージがあるかもしれません。ところが、実際には腕だけでなく肩から背中、腹筋など上半身のすべての筋肉にアプローチできるとても優れた方法なのです。

腕立て伏せや腹筋に比べると、はるかに効率よく上半身全体の筋力アップを行うことが出来るので、懸垂とスクワットをしていれば、とりあえず網羅的に全身の筋肉を鍛えることが可能となります。

懸垂はとても優れたダイエット法なのですが、筋力がない場合、いきなり懸垂を行うのはキツイと思います。そのような場合には、足をついた状態で、逆腕立て伏せのように斜めに懸垂をするのも効果的です。

また、鉄棒などに漫然とぶら下がっているだけでも肩周りの筋肉を鍛えることが出来ますし、ぶらぶらと体を揺らせばさらに効果的です。そのようにして少しずつ慣れてきたら、懸垂運動にチャレンジしてみましょう。