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ナイトの爵位を叙されたサー・カズオ・イシグロの代表作『わたしを離さないで』の内容が衝撃!

国籍は!? 長崎生まれらしいけど日本人なの!?

2017年10月にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロさん。

2018年6月9日、大英帝国勲章1等勲爵士である「ナイト爵位」が授与されました。これによりサー・カズオ・イシグロ(Sir Kazuo Ishiguro)と呼ばれるようになります。

イシグロさんは「外国人の少年だった私を受け入れ、育ててくれた国からこのような栄誉を受けることに深く感動しています」とコメントを発表しました。

爵位制度がないので実感しにくいですが、馴染みのあるもので喩えるなら……国民栄誉賞を外国人に与える、と思うとそのすごさがわかりますね。

サー・カズオ・イシグロってどんな人!? 国籍は!?

日本人なの? 外国人なの?

ところで、カズオ・イシグロさんは日本人なのでしょうか?
名前はとても日本人らしい響きがありますが……?

顔写真を見る限り、見た目も日本人っぽい感じがします。

調べてみると、なかなか複雑な彼の事情が見えてきました。

生まれは日本、国籍はイギリスの日系イギリス人

カズオ・イシグロさんは1954年11月8日に長崎県で日本人の両親のもとに生まれました。

名前は漢字表記にすると石黒一雄で、成人するまで日本国籍だったのだそう。

しかし1960年の幼少期に父親の都合で渡英してから日本で暮らしたことはなく、日本のことを肌で感じたことはないようです。

1989年に国際交流基金の短期滞在プログラムで来日した際、大江健三郎と対談したときも、「英国で私はいつも、この想像上の日本というものを頭の中で思い描いていた」と語っています。

つまり生まれは日本、国籍はイギリスの、日系イギリス人、だそうです。

幼いころには両親とは日本語で会話していたということですが、現在は日本語での会話はあまりできないと言うことです。作品も英語で執筆しています。

彼にとって日本とは?

しかし2017年10月5日ノーベル文学賞受賞が知らされた際には「日本語を話す日本人の両親のもとで育ったので、両親の目を通して世界を見つめていました。私の一部は日本人なのです」と語るなど、日本への深い思い入れもあるようです。

「つまり、虚構の世界を創造する作家になるずっと以前から、私が何らかの形で属した日本という土地を、ある意味でアイデンティティーや自尊心を得ていた場所を、頭の中で一生懸命につくりながら育ったということになります。この時期に日本に帰らなかったことで、私が思い描く日本はより鮮明で個人的なものになりました。」

カズオ・イシグロさんのノーベル賞受賞時のスピーチから引用。
頭の中で作り上げた日本という国……独創性や幻想的なものが付加されているのかもしれません。日本以上に日本らしさが出ているとすれば、それこそが「作品」ですね。

リンク先を辿るとわかりますが、けっこう長いです。ニュースで取り上げられるのは一文か二文でしたが、こんなにしゃべっていたのですね。

カズオ・イシグロの作品にも日本が舞台のものが多い

遠い山なみの光 (ハヤカワepi文庫)

756円

1982年に出版された処女作は王立文学協会賞を受賞します。この作品は日本が舞台でした。 英語で書かれているため、翻訳者の手により日本語に翻訳されて日本でも出版されています。

浮世の画家 (ハヤカワepi文庫)

799円

こちらの作品も日本が舞台。『遠い山なみの光』に続いて1986年に出版されました。

カズオ・イシグロの代表作『わたしを離さないで』のストーリーが衝撃!

設定のグロテスクさに、見ていて吐き気を催す人も…

ノーベル文学賞と聞くと、つかみどころのない格調高い教科書的な芸術文学を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか? ノーベル文学賞候補として毎年名前が挙がる村上春樹さんもどこか高尚な雰囲気をまとっていますよね。

カズオ・イシグロさんの著書『わたしを離さないで』は、ストーリー性があって大衆受けもするような面白い小説作品となっています。でも、芸術性も伴っていますよ。
世界中でベストセラーになり、イシグロさんは本作で英国の作家ベスト20にランクインしています。
イギリスだけでなく日本でもドラマ化や映画化もされているイシグロさんの代表作です。

『わたしを離さないで』は「臓器提供のためだけに施設で育てられる人々」を描いた衝撃作!

『わたしを離さないで』の世界では、クローンとはいえ生きた人間の肉体から必要臓器だけを切り取り、その人が生きながらえ続ける限り「提供」を繰り返します。

「提供」も三回目になるとほとんど弱り切ってしまい、丈夫で健康な体の場合でも四回目が過ぎるともう延命措置も行いません。(そのまま焼却されて、終了となります。)

また、提供者たちは臓器が減るにつれて、今まで自力でできていたこともできなくなっていくため、介護が必要となります。

その世話をする人を「介護人」と呼び、まだ「提供」が始まっていない人が行います。

主人公は「介護人」として、「提供」を控えた友人たちのお世話を通しこれまで生きてきた過去を振り返ります。

「あなたたちは他人に臓器を提供し、身を以てその命を助けるための存在なのです」

最近は実際の現実世界でも、採取したES細胞からヒトの臓器を作り出すことができるようになりつつあります。
ただしES細胞は受精卵から作るため、生命倫理的な問題が取り沙汰されると、そこをクリアしたiPS細胞(受精卵ではなく普通の細胞から作れる)が注目を集めました。

しかしこの映画はそんな倫理観など吹き飛ばす、「クローン人間からの臓器移植」です。

お、おぞましい、、と思う人が大半かと思います。

ですが、それはとてもわかりやすいともいえます。

誤魔化しが許されない形なので、問題に正面から向き合わされます。

人の命を手段として消費することが、国家的なシステムを通して平然と行われていること。
これほどまでわかりやすい形で表現されると、逆に、至る所にそうした事態は存在しているのだと気付かされます。

たとえば、自爆テロや、管理売春なんかもそうでしょう。
もっと身近なところでは、労働でさえ当てはまると思います。
あまりに高度にシステム化された中で人間味をなくしていき、命の消費ともとれる世界になっていく。

英国は体外受精児第1号やクローン羊第1号も生み出した国で、生命を作り出す研究が早くから進んでいるそうです。イシグロさんの中に、そうした地盤があったからこそこの作品を書くことになったのかもしれません。

2010年公開のイギリス映画『わたしを離さないで』より。
自分の「オリジナル」を見た、と大騒ぎする主人公たち。

『わたしを離さないで』は、なぜこんな設定なの?

かなり科学風味の効いた設定ですが、実は、この作品はSFを主眼としてはいないのです。
臓器移植は良いのか悪いのか、といったことがテーマではないんですね実は。

では、何がテーマなのかというと、「人の一生」。
喜び、悲しみ、むなしさ、懐かしさ、思い出、やり残したこと、思い残したことなどを大切に拾い上げ、「臓器提供」という死を迎えるまで、一つ一つ丁寧に生きていく。
人生そのものを、多感な20~30歳というわずかな期間の全てに圧縮して描いた、普遍的なヒューマンドラマなのです。

まとめ

ノーベル文学賞という栄誉ある賞の受賞に加え、ナイトの爵位まで授与されたカズオ・イシグロさん。
彼の中に「日本」という国が根強くあるということは、同じ日本人にとっても嬉しいことですね。

『わたしを離さないで』の映画はイギリス版・日本版、日本ドラマ版とそれぞれあるので、見比べてみるのも面白いと思います。

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ロマンチックな皇室・王室の話題が好きです。また、精神の病についても興味があります。(蓬莱ステラ)