大規模工具やロボット事業・機械部品の大量生産などに携わる大企業『株式会社 不二越』の会長が2017年7月に行われた決算発表会見にて「富山生まれの人間は極力採らない」と発言し、さらに出身地で人物像のレッテル張りを行う不適切発言を行ったことで各方面から批判の声が相次いでいます。

不二越は切削工具や自動車製造に関するロボット事業、工業炉の製造販売などを手掛ける総合機械メーカーであり、日本のみならず海外にも数多くの子会社を抱える製造業の大企業です。
この会社の特徴として富山県と東京都に2つ本社がある2本社制が挙げられており、それぞれ富山本社が事業本部・東京本社が営業本部として扱われているようでした。

しかし、2017年8月にこの2本社は東京本社に合併され、富山本社は統合される形になります。
この統合理由について不二越会長である本間博夫氏は「事業の拡大に向けグローバルな人材を確保するため」と述べたのですが、これからの人材確保の方向性について述べた内容の中に富山県民への差別的発言が連発されており、各方面から怒りの声が相次ぎました。

これからは元々本社のあった富山からでなく、日本全国の人材を幅広く集めたいと語った本間不二越会長。
しかし、その際不二越会長は富山県出身者について「富山で生まれて幼稚園、小学校、中学校、高校、不二越。これは駄目です」と富山生まれ・富山育ちの人間を批判し、さらに「富山で生まれて地方の大学へ行った人でも極力採りません」と他県大学出身の富山県出身者の入社拒否を匂わせる発言を行いました。

その理由について不二越会長は「富山県の人間は閉鎖された考えが非常に強いから・ソフトウェアの人間がいないからです」とハッキリ明言しており、2017年に採用した75名の新入社員の中にも富山大学出身の他県出身者はいても富山育ちの人間は極力採らなかったと語っています。

しかし、その一方で社員の中で比較的低賃金で従順性が求められると言われるワーカー(現場作業員)だけは富山県から採りますという発言もあり、差別観念をより強く印象付ける発言を行っているようでした。

不二越会長の差別的発言に対し、富山の経済界トップの人間や地元新聞社からは次々と苦情の声が上がっており、理解できない発言として遺憾の意が示されています。
また、東京や他県の人間からも今回の発言に疑問を呈する声は多く、ネット上でも批判の声が相次ぎました。

不二越の人事を担当する経営企画部によると、現在不二越で働いている2945人の社員のほとんどが富山出身の人間であり、採用は出身地関係なく人物重視で行っているとのことでした。
つまり、不二越の人間のほとんどが不二越会長の言う“駄目”な人間に相当する可能性があるということです。

さらに、不二越は富山県唯一の工業私立高校である『学校法人不二越工業高等学校』を運営しており、この高校の卒業生を不二越で雇用している実績も存在しているようでした。
公式HPによると不二越工業高校での授業内容はいわゆるワーカーを育てる事に重点を置いた授業内容でしたので、こちらは問題ないのかもしれませんが…『本社採用は極力しない』と会長が明言する不二越にこれから入社したがる卒業生は現れるのでしょうか？

人事部と会長側で完全に意見が食い違っているのにも関わらず会社側は報道陣の取材を拒否しており、今回の差別発言に対する説明や謝罪などは未だに行われていないようです。

不二越は2018年には2017年の75人よりも多い166人の新卒採用を予定しているようですが、富山出身者は本当に採用を避けられてしまうのでしょうか？
企業側の詳しい説明が待たれます。