横綱・日馬富士が同じモンゴル出身の力士へ対して暴行をふるったという疑惑に対し、2017年11月14日、日馬富士本人がマスコミの前で暴行疑惑を正式に認め、謝罪の言葉を口にしました。
この事件の責任を取り、日馬富士は角界を引退させられるのではないかと推測されているようです。

日馬富士は、モンゴル出身で2012年11月に横綱に昇進した第70代目の東横綱です。
力士の中ではトップクラスに体重の軽い軽量力士でありながら非常に強気な相撲を取ることで多くの白星を上げており、プライベートではモンゴルの心臓病の子供を支援するNPO法人に多額の寄付をするなど心技体ともに優れている力士として相撲ファンから多大な支持を得ていました。

貴ノ岩は、日馬富士の土俵入りと同じ2009年1月に土俵入りを果たした同輩力士であり、2017年現在東前頭として活躍しているモンゴル出身の力士です。
来日してからわずか3ヶ月で父を喪うという不幸に見舞われた貴ノ岩ですが、その後も貴ノ岩は稽古熱心さが記事に取り上げられるほど真面目に相撲に取り組んでおり、強くなってきている注目力士として事情通から目をかけられている存在でした。

日馬富士が貴ノ岩に対し暴行を働いたのは2017年10月26日。
鳥取県民体育館で行われた『秋巡業・大相撲鳥取場所』の終了後、日馬富士や貴ノ岩を始めとしたモンゴル出身の力士たちは同郷の力士同士で宴会を開き、ビールや酒を飲む宴会を開いていたそうですが…その宴会中に日馬富士は酒に酔って泥酔し、「態度が気に食わない」と貴ノ岩をビール瓶で繰り返し殴りつける傷害事件を起こしました。

日馬富士から暴行を受けた貴ノ岩はその後11月9日まで病院に入院し、九州場所を初日から休場せざるをえませんでした。
11月13日に相撲協会に提出された診断書によると、貴ノ岩は今回の暴行事件で脳しんとうと左前頭部裂傷、さらに右外耳道炎に右中頭蓋底骨折、髄液漏まで負っていたことが判明しています。

画像は貴ノ岩が負った頭蓋底骨折を図解したもの。
脳を支える頭蓋骨の底の方が骨折して中の髄液が漏れ出た事まで疑われている貴ノ岩ですが、幸いにも復帰は可能とされており、全治2週間の大怪我で済んでいたようです。

暴行事件の疑いが出た当初、相撲協会や日馬富士は「事実関係を調査する」とし具体的な方針を示していませんでした。
しかし、2017年11月14日、太宰府市の伊勢ケ浜部屋稽古場に姿を現した日馬富士は取材陣に対し暴行事件は事実であったと認め、謝罪の言葉を発します。

暴行事件の確定を受けてか、その後日馬富士は2連敗中であった2017年九州場所の休場を決め、3日目から姿が見えなくなりました。
横綱という責任ある地位にいただけに、影響はかなりのものになりそうです。

マスコミの前で暴行を認めた日馬富士は、取材後貴ノ岩のいる貴乃花部屋へも謝罪に赴いたようですが、貴乃花親方は謝罪直前に二人の目の前で車に乗り込んで外出し、部屋にいた若い力士に貴ノ岩の居場所を訊ねても「分からない」と答えられて直接の謝罪を拒否されてしまう形となっているようでした。

日馬富士の暴行疑惑が上がった際、横綱審議委員会の北村正任委員長は「高い品格が求められる横綱が暴行事件を起こしたのが事実であれば協会に厳しい処置を求める」と息まいており、強い遺憾の意を示していました。
さらに、日馬富士は元々成績の偏りなどから横綱審議委員会には「横綱に相応しくない」と一度厳しい評価を下された事もあり、世間の声もあって横綱の地位はく奪後、そのまま九州場所を最後にクビ・または引退になる可能性が非常に高くなっているようです。

さらに、以前不祥事で日本相撲協会を追放された朝青龍以上の悪質行為を行っていたことが明らかとなった日馬富士は、プロの格闘選手に分別される力士という職業に就いていながら刑事事件相当の暴行を行ったとして傷害罪または殺人未遂で起訴・逮捕される可能性もあるのだそう。

慈善事業への取り組みで人格も高く評価され、モンゴルを始めとした海外でも高く評価されていた日馬富士。
しかし、今回の暴行事件が明らかとなった事でその評価はひっくり返り、海外勢も落胆の声を上げています。
世間には一刻も早い引退を望まれている日馬富士を日本相撲協会はこれからどう扱うのでしょうか?
続報が気になるところです。