当時中学1年生だった少女を2年間にわたり誘拐・監禁したとして逮捕された寺内樺風被告が判決公判直前に突如発狂し、裁判長が公判の延期を決定しました。
しかし、ネット上では逮捕直後の様子に比べ発狂時の様子があまりに演技じみているとして心神喪失狙いだという指摘が次々相次いでいます。

事件が起こったのは2014年の3月頃。
寺内樺風被告はこの日の夕方ごろ、当時中学1年生だった少女を「両親が離婚することになったので迎えに来た」と騙して車に乗せ、千葉大学に隣接する自宅アパートの一室に連れ込んで誘拐、その後2年間に渡り少女を監禁する事件を起こしました。

寺内樺風被告は少女に「君は家族から見放されている」と繰り返し言い聞かせ、少女にも「私は両親に捨てられた、誰にも必要とされていない」と復唱させるなどして少女から計算高く自ら逃げようとする意志を奪っていきました。
中でも酷かったのは食べるとドラッグと同様の効果を発揮するチョウセンアサガオや西洋アサガオの種を食事に混ぜて与えていた事で、精神的な暴力による洗脳の他に薬物を使った洗脳とほぼ同じ行為を行っていたという事です。

しかし、少女は誘拐されて1ヶ月経った頃、1度だけ寺内樺風被告に監禁されているアパートから逃げ出していたことがありました。
その際少女は近くにあった公園で若い女性や年配の女性に助けを求めようと声をかけていたそうですが、そこにいた住人たちは「忙しいから」と少女の訴えを邪険にしてしまいます。

結局、その後少女は寺内樺風被告からの洗脳の言葉は本当だったと絶望し、逃げ出したはずのアパートへ自ら戻って行ってしまいました。

寺内樺風被告に洗脳され、ネットの利用や買い物が許されても助けを求めることすら浮かばなくなった被害者少女。
しかし、ある日ネットをしている最中少女は2年間自分を捜索し続けていた両親の「味方だよ、ずっと待っているよ」というメッセージを発見し、監禁場所からの脱出を決意。
寺内樺風被告の留守を狙ってJR東中野駅の公衆電話から自宅へSOSの電話をかけました。

少女がこの電話をかけたのは、2016年の3月27日。
ほぼ丸2年間寺内樺風被告に監禁されていた少女はようやく家に帰る事が出来ました。

逮捕直前に首を切る自殺未遂を行い、退院を待って逮捕された寺内樺風被告。
この時の寺内樺風被告は正気そのものであり、裁判長からの質問にもしっかりとした口調で答え、未成年者誘拐や窃盗の罪についても「間違いありません」と容疑を認める口述を行いました。

しかし、寺内樺風被告は少女監禁の罪だけは認めようとしませんでした。
寺内樺風被告は少女を監禁していた自宅入り口に外からかんぬきをかけたり南京錠で部屋を施錠していたりしたのですが、この監禁について「かんぬきはすぐに外せるもので物理的には監禁していなかった」「自分達はうまくいっていると思っていた」と主張し、監禁致傷には当たらないと主張し続けていたそうです。

度重なる公判が終了し、全ての審理を終えて判決を言い渡す判決公判が行われるはずだった2017年8月29日。
この日さいたま地裁に入廷した寺内樺風被告は、入廷直後突如発狂し「パチンコ・スロット夢らんど！！」と大声で奇声を上げながら裁判所へ入廷します。

入廷後、いつもの通り裁判長から名前や生年月日、職業や本籍を訊ねられた寺内樺風被告。
しかし、これまで行われていた整然とした受け答えとは正反対に被告は「名前はオオタニケンジ」「生年月日は平成13年1月15日の16歳」「職業は森の妖精」「本籍は和歌山県那智の滝」と答え、裁判長に「私は日本語が分からない」と話します。

この言葉を受けた裁判長が「私の質問は分かりますか」と質問すると、被告は「私はオオタニケンジでございます」と繰り返し、「ここはどこですか？」という質問に対して「トイレです。私はおなかが空いててます。今なら、からあげクン増量です」と答えたのだそう。

突然支離滅裂な対応を受けた裁判長は、弁護人に「いつもこの調子なんですか」と質問すると、弁護人は「今朝からこの調子です」と答えました。
寺内樺風被告の発狂は8月29日の朝からだったそうですが、裁判長は一度公判の休廷を決め、判決公判は延期される事が決定します。

少女は今でもPTSDに苦しめられており、脱出後の調書では寺内樺風被告に対して「刑務所から3～5年で出てこられるのは嫌だ。10年以上入っていてほしい。一生刑務所から出てこられない無期懲役にしてほしいと思います」と述べていました。
こういった主張もあって懲役15年が求刑されているとのことですが、寺内樺風被告の判決は一体どのようなものになるのでしょうか？

次の判決公判が一刻も早く開廷されるよう祈るばかりです。