2011年に、ストーカー行為のあげく元交際相手の家族を殺害した筒井郷太被告に、最高裁は上告を棄却しました。1,2審の死刑判決がこれで確定したことになります。

長崎県出身の女性（被害者二人の孫であり三女）に対し、暴行、ストーカー行為を繰り返していた筒井郷太が、女性の家族を殺害した事件。

勝手な思い込みによる残忍な殺人で、今回の裁判でも「情状酌量の余地なし」と言われました。

二人が同棲していたのは、千葉県習志野市。事件が起こったのは、長崎県西海市です。女性が長崎県の実家に居るとして、連れ戻そうとして筒井郷太被告が侵入、女性の母親と祖母を殺害した事件です。

筒井郷太被告と、被害女性が出会ったのは、2010年9月で、インターネットの会員制交流サイトだったそうです。

その後、交際が進み、女性が一人暮らしをしていた部屋に筒井郷太被告が転がり込む形で同棲をはじめました。この時期は、2011年の2月とも、5月ともいわれています。

嫉妬深い性格のようで、少しでも女性の帰りが遅れると、頭や顔を殴る蹴るの暴行を加え続けていました。

体への暴力のほか、

女性のメールを本人よりも先にチェックする
勤務中には10分おきにメールで連絡をさせる
家族とも友達とも連絡を取らせない
暴力により熱が出ても、病院に行かせてもらえない
「俺から離れたら、おまえの家族も友達もみんな殺す」などと脅す

などの行為を日常的に行っていたようです。

サイコパスとしか言いようのない暴力の連続に、いつの間にか女性は被虐待女性症候群になっていたそうです。

そして事実上の軟禁状態になりました。

軟禁状態だった女性は、父親に相談しました。

父親は、長崎県警の西海署に相談、西海署が千葉県習志野署に通報し、習志野署が動いたのですが……。

30日に、習志野署員2人とともに、女性の上司、長女が突入。

いったんは傷害容疑で任意同行されたものの、筒井郷太被告は「二度と近づかない」との念書を書いただけで帰されてしまいました。

念書を書いたことも無視して、メールを送り電話をつづけた筒井郷太被告。

女性の父親は、何度も習志野署と西海署に事情を訴え、部屋への侵入の形跡も通報したのですが、対応してくれませんでした。

その間も、筒井郷太被告からの無言電話も続いていました。

こんな風に言ったかどうかは知りませんが、女性の父親にすればこんな風にバカにしたように聞こえたのではないでしょうか。

たらい回しのあげく、父親は千葉県習志野署に「障害の被害届を出したい」と連絡、そのときにはほかの事件を理由にして「1週間待ってほしい」と言ったのだそうです。

しかし、その本当の理由は生活安全課の北海道への慰安旅行があるからでした。

慰安旅行のために被害届が出せなかったのが12月1日です。殺人事件が起きたのは、16日。2週間近くの間警察はいったい何をやっていたのでしょうか。

12月9日から、筒井郷太被告は、女性の家に行き、チャイムを鳴らしたりベランダをたたいたりして暴れていたようです。筒井郷太被告の両親まで来て大騒ぎになったようです。

被告の両親まで「息子を逮捕してください」と頼んでいたそうです。

女性の父親は、このときにも習志野署に通報しましたが、逮捕状がないなどの理由で逮捕はされず。被告は両親が連れ帰ることになりました。

事件当日の16日、女性、父親、長女は東京にいました。
18歳の弟が、無残な姿になったお母さんを発見します。学校から帰宅した午後9時ごろのことでした。

被害者は、

山下久江さん77
美都子さん56

女性のお母さんとおばあちゃんでした。

ふたりとも、包丁で何度も何度も刺されて亡くなっていたそうです。

筒井郷太被告が逮捕されたのは、24時間以上も経った、17日の夜のことでした。まだ長崎のホテルに泊まっていたそうです。

筒井郷太被告とはどんな人物なのでしょうか？

実家が三重県の桑名市とまではわかっているのですが、ほかの情報はどうでしょうか。

家族構成は、両親と兄弟3人の6人家族です。この両親にも彼の本質はわかっていたので「息子を逮捕してください」と言っていたのでしょうね。

お兄さんがとても成績優秀だといいます。

犯行時には27歳でしたが、無職でした。スーパーに勤めていた女性の収入に頼っていたようです。

中学校時代の写真がよく出回っています。「津田学園」という学校のようです。

バスケ部所属でしたが、そのころからキレやすく粗暴で、この事件を知って「あいつならやりかねん」との感想が出ていました。

噂だけを書いたようなブログに「韓国との関係」との文字が見えました。
しかし、調べたところ、筒井郷太被告と韓国との関係は見つかりませんでした。

最初の死刑判決の後、マスコミに長文の手紙を送ったこともよく知られています。

「もう死にたい」
「なんで僕が殺したことになるの？」
「くやしい」

など、最初の自白を覆し、「嵌められた」などと無罪を主張しはじめていました。

発言と行動に異常性が認められるため、第10回公判では、被告の精神鑑定を担当した精神科医が出廷しました。

「非社会性パーソナリティ障害」
「演技性パーソナリティ障害」

ではあるものの、責任能力はあるとみなされました。

どちらのパーソナリティ障害も、「悪いことと良いこと」の区別はつくのです。

過去の裁判ではじめて「死刑」判決が出た瞬間、顔から血の気が引いたという筒井被告。

即日控訴をしています。このときに「死にたい」と手紙を書いたようです。

過去の裁判をまた振り返ってみましょう。

第11回公判では、死刑が求刑されました。このときの検察側の理由は、今後のストーカー事件に対する警告としての意味もあるようでした。

今回、上告を棄却されたことで事実上、死刑が確定した筒井郷太被告。

このニュースが世の中で後を絶たない、凶悪なストーカーたちへの警告として機能してくれるといいのですが。