かつて、日本中を恐怖に陥れた麻原彰晃（本名・松本智津夫）率いる、
宗教団体オウム真理教は、
日本を支配するために、外国で武器や化学兵器を調達し、
対立する者を拉致・殺害したり、無差別テロを行いました。
これら事件により、死亡者数は29人、負傷者数は約6000人を数えます。

また、特に有名な事件としては、
1989年11月、オウム真理教と裁判で争っていた、
坂本堤弁護士とその家族を殺害した
坂本堤弁護士一家殺害事件、

1994年6月27日には、
教団松本支部立ち退きを求めた裁判の
担当判事を殺害する目的で毒ガスサリンを散布した
松本サリン事件、
そして、1995年3月20日首都圏の混乱や、
教団への捜査をかく乱するために、
地下鉄車両にサリンを散布した、
地下鉄サリン事件。

これら事件は社会的影響が大きかったことから、
オウム三大事件と呼ばれています。

地下鉄サリン事件を境に、オウムの主要活動拠点である
25の施設へ捜索が入ります。
教団関係者が逮捕され、事件の全貌が明るみになり、
1995年5月16日、ついに首謀者の麻原彰晃が逮捕されました。

当時、麻原が潜伏しているとされた第6サティアンは封鎖され、
完全武装した数百名の警察官と自衛官が
捜査にあたりました。
教団内に身を隠していた麻原はほどなくして発見され、
9時45分に緊急逮捕されたのです。

教祖・麻原の逮捕により、オウム真理教は破産し、
破産管財人から団体名の使用中止を求められました。

これを受け名称を「アレフ」に変更。
しかし、大手ファミリーレストラン「びっくりドンキー」を経営する
株式会社アレフから抗議を受け、「アーレフ」に改称しました。

メディアでは認知度の問題から未だにアーレフではなく、
アレフと報じることが多いようです。

宗教団体アレフは、糾弾されることを恐れて、
「オウム真理教とは異なる団体」と主張していますが、
2016年12月22日、公安調査庁によると、
アレフ内で「かるた」を使い、
子供にオウム真理教の教義を
教えているというニュースが報じられました。
そのかるたは「真理かるた」と呼ばれており、

　「そんし そんし あさはらそんし」

などの読み札が確認されています。

宗教団体アレフの中には、
まだまだ、麻原彰晃を崇める信者が大勢います。
そういった信者の暴動などを恐れ、
麻原の死刑執行は簡単には行えないのです。
また、教祖が死ぬことにより、
さらに、神聖化されるのではないかという懸念もあるのです。

事件から20年以上経った今でも、
麻原彰晃の教義が抜けないという事実は
洗脳の恐ろしさが感じられます。

元オウム真理教信者の上祐史浩さんが、
「脱麻原派」を率いて立ち上げたのが、
仏教哲学サークル「ひかりの輪」です。

ひかりの輪は崇拝対象を持たず、
信者の心の安定や癒しを追及する団体とされています。

また、オウム真理教が起こした事件の賠償や、
オウム教義の脱却支援、身寄りのない信者を助けるなど、
社会貢献も掲げています。

しかし、構成員のほとんどが
古くからのオウム信者であることから、
公安庁から監視対象とされています。
これに対して上祐さんは、

「第三者の厳しい見方も必要」

と、発言しています。
以前、ひかりの輪に立ち入り検査が入った際、
麻原彰晃の写真や
オウムの教義の音声テープなどが見つかっており、
これに対して、ひかりの輪は“廃棄漏れ”と言っていますが、
真相は分かりません。

ひかりの輪代表：上佑史浩

1962年12月17日生まれ。福岡県出身。
1987年早稲田大学大学院理工学研究科修士課程を修了。
フジテレビアナウンサーの軽部真一とは同級生。
卒業後、特殊法人宇宙開発事業団に入社。


早稲田大学在学中に「オウム神仙の会」に入会し、
麻原彰晃に出会います。
就職した宇宙開発事業団は入社一年で退職し、
オウム真理教に所属。
5年後には「尊師」の次に位の高い「正大師」に昇進。
地下鉄サリン事件後には「緊急対策本部長」に就任し、
2年後の1995年10月に有印私文書偽造などの容疑で逮捕され、
懲役3年の実刑判決を受けます。
1999年12月に出所し「アレフ」を設立。
2007年5月、別団体として独立し
「ひかりの輪」を設立しました。