2016年6月16日、
『北朝鮮によって拉致された疑いが強い』として特定失踪者リストに記載されていた宮内和也さんが日本国内の大阪府で無事に発見されたと発表されました。

宮内さんの行方を捜索していた福井県警によると、
宮内和也さんの健康状態は良好で体調に問題はないようです。

失踪してからの19年間、宮内さんは一体どうしていたのでしょうか？

特定失踪者とは、行方不明になって失踪してしまった人々のうち、
“北朝鮮によって拉致された”という疑いのある人々の事を指します。

国によって正式に認められた特定失踪者は17人となっていますが、
北朝鮮の拉致被害を調べている民間団体『特定失踪者問題調査会』によると北朝鮮によって拉致された疑いのある人物は277人にもなっており、特定失踪者リストに掲載されている人物の捜索が大きな課題となっています。

拉致濃厚とされる1000番リストには、現在特定失踪者277人中78人が登録されています。

宮内和也さんが行方不明になったのは1997年4月24日。

「5月にあるカヌー研修の為にタンカー事故の影響を見に行く」と同僚の職員に告げ、
福井県の世久見漁港へ向かってから宮内和也さんの行方が分からなくなりました。

宮内さんの最後の目撃場所は24日夕方の世久見漁港岸壁。
行方不明直後、漁港の駐車場には宮内さんの車が残されたままでした。
漁港からはカヌーが1隻持ち出されていたそうです。

失踪当日の海は荒れに荒れており、地元の漁師ですら漁に出ないほどの大波。
その上カヌーこそ1隻無くなっていたものの、
同じ場所にあったパドルやウェットスーツは漁港の倉庫に残ったまま。

宮内さんは経験豊かな海のプロ。
そんな人物がまだまだ寒い4月の海に必要な装備も持たず、
危険な状態の海へ向かって漕ぎ出していくとは到底考えられません。

失踪の経緯を知った特定失踪者問題調査会は宮内和也さんを特定失踪者と断定し、
北朝鮮によって拉致された疑いが濃厚な人物として扱っていました。

福井県警は行方不明になった宮内和也さんを懸命に捜索。

失踪当時の宮内さんの写真を公開し、
目撃情報があればすぐに捜査員を現場まで派遣し続けていました。

行方不明になって19年後。

必死の調査が実り、
宮内和也さんはついに日本国内の大阪府で発見されました。
(関西説、西日本説など諸説あり)

福井県警の捜査員が宮内さんに話しかけると素直に話に応じ、
自ら自分が失踪した宮内和也さんだと名乗りを上げたそうです。

失踪中の19年間、
宮内和也さんは職や住所を転々としながらもいたって一般的な生活をしていたようです。

32歳だった宮内和也さんは51歳になっていました。

福井県警は「プライバシー保護のため」として発見後の宮内和也さんの証言について詳細を公開していませんが、

・記憶喪失になっていた
・予想より大ごとになって出るに出られなくなっていた
・借金に追われていた
・家族から逃げていた
など失踪の理由について様々な推測がされています。

特定失踪者調査会によると、
特定失踪者として登録された失踪者が国内で発見されたのはこれで24例目だそう。
懸命な調査の努力が実って本当に良かったですね。

24例中2例は失踪者が死亡した後の発見になっていましたので、
生きている内に家族と再会できて本当にほっとしました。
これからもどんどん失踪者が発見されるといいですね。

宮内和也さん家族の間にある19年間の溝。
この溝がこれから埋まっていく事を心よりお祈り申し上げます。