2016年8月に公開されたアニメ映画「君の名は。」は、公開から28日間で観客動員770万人・興行収入100億円を突破し、日本国内だけでなく世界中に社会現象をも巻き起こしました。
その監督である新海誠さんをこの映画で初めて知ったという方も多いかと思います。
新海誠とは何者なのか、
全部一人で作ったという衝撃デビュー作「ほしのこえ」などまとめました。

新海誠監督は1973年2月9日に長野県で生まれました。
子どものころからSFや宇宙関係の物が大好きで、SF界のビッグスリーのアイザック・アシモフやアーサー・C・クラーク等が愛読書だったそうです。
なかなか渋い子どもですね！

さらに当時はまだ珍しかったパソコンを買い与えられて遊んでいたのだとか。実家は古くから続く建築会社（ゼネコン）だったそうで、お金はあったようですが、それでも当時はパソコン一台70万円もするような時代。誠少年にねだられた父親は、頭ごなしにだめだというのは気が引けて「テストでクラス1位になったら買ってやる」と言ったそうなのですが、そうしたら誠少年は本当になってしまいます。それで購入することになったそうです。誠少年は幼いながらにわからないことを問い合わせたり、マニュアルを見て立ち上げるなど、早くも独りでなんでもやりはじめました。
この「独りでなんでも」というのは、このころから始まっていたんですねえ……。

新海誠さんは長野県野沢北高等学校を1991年に卒業したあと上京、1996年に中央大学文学部文学科国文学専攻を卒業します。
大学在学中からアルバイトとして立川市のゲーム会社・日本ファルコムで働き始めました。
新海さんは大学生のとき、ゲーム会社でアルバイトをしていたんですね！　のちにアニメ映画監督となるほどのクリエイター魂を持つ彼が、作品を生み出す場所でアルバイトを学生時代にしていたというのは、なんだかわかる気がします。

しかし、驚きなのが、卒業後です。

大学卒業後は、家業4代目を継ぐための修行が待っていました。

3代目であるお父様が年商70億円ほどの規模にまで拡張していた建設会社家業だったのですが、
彼はなんとそれを断って1996年に日本ファルコムに正式に入社します。

クリエイターとしてはたしかにゲーム会社の方が魅力的だったのでしょう。それはわからなくもないですが、とはいえ年商70億円の家業を手放すとは……！
よっぽどアルバイト先が楽しかったんでしょうね！！
年商70億円以上の何かに出会えたのは、それもまた素晴らしいことだと思います。
でもご両親とは大いにもめたでしょうね＾＾；

入社した新海誠さんはすぐ、ゲーム開発部門への配属を希望したそうです。しかし、それは叶わず、初めはロールプレイングゲームのパッケージ制作を担当したそうです。そののち、パソコンゲーム『英雄伝説 ガガーブトリロジー』『イースIIエターナル』などのオープニングムービーを制作することに。

言われてみるとたしかにどことなく新海誠監督の色遣いが出ている気もしますね。

そんなゲーム会社の会社員生活を送る最中、自分でもアニメを創り始めます。
しかし、日中は普通の会社員です。

それでもたった一人で作り始めちゃいました！

オープニングムービーを仕事で作ってみたら、あれ？　案外いけるじゃん？　と思ったのでしょうか。

そしてできた第一作目！　この『遠い世界』は1998年にeAT’98にて特別賞を受賞しました！

勢いに乗って、もういっちょ作ります！

『彼女と彼女の猫』は2000年に第12回CGアニメコンテストのグランプリを獲得します。

そしてそのままの勢いで2001年初夏、
5年間勤めた日本ファルコムを退社しました！！

その理由としては、

たしかに新海誠監督のアニメーション作品は、現実世界が舞台となっていることが多いようです。

2002年に『ほしのこえ』を発表します。
こちらは上の作品よりもずっと長い約25分のフルデジタルアニメーションで、しかもフルカラー。
にもかかわらず監督・脚本・演出・作画・美術・編集など、ほとんどの作業を新海誠さんが一人で行ってしまいました。

一人が描いたとはとても思えないほど背景の描き込みが物凄いです。以下は映像の中の一瞬を切り取っただけのただのスクリーンショットです。

しかし作品を観ていると、これを何人で作ったとか、描き込みがすごいなとかはそのうちだんだんどうでもよくなってきますよ。
作られたものだということなど忘れて、物語の世界に没入してしまいます。
それくらい、作品としての価値そのものが高いです。

この作品で、第1回新世紀東京国際アニメフェア21公募部門で優秀賞を受賞。
他にも、第7回アニメーション神戸・第6回文化庁メディア芸術祭 特別賞・第34回星雲賞 メディア部門・第8回AMD AWARD BestDirector賞など多数の賞を受賞し、新海誠監督は一躍有名になりました！

年商70億の家業を蹴ってアルバイト先のゲーム会社に就職したり、
働きながらガチの自主制作アニメを作るという離れ業をやってのけるなど、
なかなか奇特な人生を送っていた新海誠さん。

しかし、彼の作品を見てしまえば、ああそうしたくもなるな、と納得してしまうのではないでしょうか？

これからの活躍も楽しみです。