10月7日に福井県で開かれた日本弁護士連合会の人権擁護大会にて、死刑制度に反対する瀬戸内寂聴が発した「殺したがるばかどもと戦って」という言葉が大きな波紋を呼んでいます。

死刑囚を殺したがる人間らを「ばかども」と評したことで『全国犯罪被害者の会』の顧問弁護士は日弁連や瀬戸内寂聴に対して遺憾の意を表明し、ネット上でも彼女に対して批判の声が相次ぎました。

瀬戸内寂聴は出家するまでは女流作家として活躍していた天台宗の尼僧ですが、出家後も様々な作品で女流文学賞や谷崎潤一郎賞を受賞した小説家としての顔を持ちます。

代表作である『夏の終わり』は映画化までされた作品であり、自身の経験を元に書かれた小説は多くの読者に感動を与えました。

瀬戸内寂聴が問題の発言を発したのは10月7日の日弁連人権大会内。
福井県で開催されたこのシンポジウムで日弁連は平成32年までに死刑制度撤廃することを宣言しており、死刑制度撤廃をめぐる国際的な動きを発表していました。

瀬戸内寂聴はこのシンポジウムへビデオメッセージを送っており、その内容は大会の最初と終盤の2度に渡って流されています。

ビデオメッセージ内で彼女は
「人間が人間の罪を決めることは難しい。日本が（死刑制度を）まだ続けていることは恥ずかしい」
と述べて仏教感と日本への嘆きを訴えた他、
「人間が人間を殺すことは一番野蛮なこと。みなさん頑張って『殺さない』ってことを大きな声で唱えてください。そして、殺したがるばかどもと戦ってください」
と出席者への応援の意を述べました。

この発言がシンポジウムに出席していた『全国犯罪被害者の会』の人間を大激怒させ、世間やネット民を大炎上させる事となります。

まず大きな声を上げたのは『全国犯罪被害者の会』の顧問弁護士である岡村勲氏。
このビデオメッセージを受けた直後岡村弁護士は
「被害者はみんな加害者に命をもって償ってもらいたいと思っている。そのどこが悪いのか。ばか呼ばわりされるいわれはない」
と遺憾の意を公式的に表明し、すぐさま反論の声をあげました。

岡村勲弁護士はかつては死刑反対派の弁護士だったのですが、過去に裁判結果を逆恨みした犯罪者に自身の妻を殺されており、それ以降死刑賛成派に回って全国犯罪被害者の会の顧問弁護士を務めているという経歴を持つと噂されている男性です。

ネット上や被害者の会から怒りの声が噴出し大荒れとなった日弁連。
この騒動を受け日弁連側は
「犯罪被害者への配慮がなかったことは、おわび申し上げる」
と謝罪のコメントを発表し、
「死刑制度を含む国家の殺人のことであり、犯罪被害者へ向けられたものではないと考えている」
と釈明しました。

瀬戸内寂聴のコメントについては
「『ばかども』という表現は確かに強いと感じたが、瀬戸内さんの思い切りよい持ち味でもあり、そのまま使うことになった」
と発表しており、主張に対する責任を追求するつもりはない旨を述べています。

被害者の心情を無視しているともとれる発言をし、未だに本人の口から釈明コメントを発表していない瀬戸内寂聴。

ネット情報を見ないテレビ世代の人間には支持率の高い彼女ですが、ネット上では出家前に子供を捨てた過去が出回っている事もあり、ネット世代の人間は彼女を嫌っている人間の方が圧倒的に多いようです。

小説家として今も活躍し公式サイトで仕事の依頼を受け付けている瀬戸内寂聴は下げ止まらない若者の好感度を回復させる一手を打つことが出来るのでしょうか?