NHKの生放送番組『あさイチ』が西表島について紹介する際イノシシの刺身について「イノシシの生食は(西表島では)保健所が申請を受け付けた店でだけ提供ができる」と発言しTwitterが大騒ぎになりました。

当の西表島側はこの放送内容について真っ向から否定しておりNHKの捏造放送疑惑が浮上しています。

疑惑の放送があったのは毎週平日に放送される朝の生放送番組『あさイチ』。
この番組の1コーナーである『ぽちポチ祭り』にて西表島のグルメについて紹介されたのですが、とあるお店で出されたイノシシ肉の刺身についての発言が炎上のキッカケとなりました。

炎上となったきっかけは、番組中で発言された
「イノシシの生食は保健所が申請を受け付けた店でだけ提供ができる」
というもの。

豚にかなり近い生き物であるイノシシ肉の生食を許可する保健所が本当にあるのでしょうか?
この発言に疑問を持った視聴者は多く、放送直後からTwitterに波紋が広がり大炎上が始まります。

番組放送直後のTwitterの様子。
Twitter民の中には独自に沖縄へ問い合わせた人までおり、NHKやイノシシの刺身を提供した店舗に疑惑の目が向いています。

放送直後から大きな波紋を呼び、大炎上が始まってしまったTwitter。
この炎上を受けたNHK側がどのような反応をするのか注目の的になっていましたが、なんとNHK側はあさイチ公式サイトの過去放送内容画像の差し替えを無言で行うだけとなりました。

画像は現在の9月27日放送分の内容説明部分なのですが、イノシシの刺身が掲載されていた場所には同番組中で一応取り上げられていたお寿司の画像が掲載されており、イノシシの刺身の事など無かったかのようになっています。

現在台風17号の直撃で大変な状態になっている西表島の八重山福祉保健所に代わり、沖縄県保健医療部の生活衛生課が放送にあった「イノシシの生食は保健所が申請を受け付けた店でだけ提供ができる」という発言を真っ向から否定しています。

沖縄県保健医療部の話によると、イノシシ肉の生食は基本的に許可しておらず、イノシシの刺し身をメニューとして出すことを許可する保健所は全国的にありえないんだそう。

沖縄県保健医療部はNHKの番組でイノシシの刺身が紹介された事は把握していたそうですが、イノシシの刺身を提供した店までは現在把握していないんだとか。

ちなみにあさイチではイノシシの刺身を出した店名が公開されていませんでしたが、番組内で掲載されたイノシシの刺身の画像は食べログからの流用でした。

画像は食べログに掲載されていた西表島の『ぽけっとはうす(居酒屋 ぽっけ) 』というお店の料理写真なのですが、番組内で紹介されていた画像と見比べてみるとお肉の細かい向きまで全く同じ事が分かります。

イノシシは野生の鳥獣肉として厚生労働省に登録されており、厚生労働省がHPでも掲示している『野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)』によると、
“飲食店営業等が野生鳥獣肉を仕入れ、提供する場合、生食用として食肉の提供は決して行わないこと。”
とのことでした。
厚生労働省が許可していない物を保健所が許可するはずがないのです。

イノシシは豚とほぼ同種の生き物ですが、無菌豚など衛生管理がある程度可能な家畜と違ってイノシシは完全に野生の生き物であり、豚よりも多くの寄生虫やウイルスを保菌している野生動物です。
そのため厚生労働省ではHPなどで常にイノシシやシカなどといった野生動物のの生食を止めるよう毎年警告を発布しており、危険性についても周知活動を積極的に行っています。

イノシシ肉を生食してはいけない理由として、まずはE型肝炎に感染する可能性が非常に高い事が挙げられます。
2005年3月に福岡県で生のイノシシを食べた11人の内1人がE型肝炎に感染し、ウイルス遺伝子検査で感染の理由がイノシシの生食であった事が判明した事例がありました。

この人数だけを見てみると、1回イノシシを生食しただけでおよそ10％のE型肝炎感染リスクを背負う事になりますね。

更に、イノシシの筋肉の中には『旋毛虫』という小腸から全身に広がって体中に卵を産み付ける寄生虫が大量に発生しています。

この寄生虫に寄生された場合、数が少ない内は無症状なのですが全身に繁殖されて増殖してくると発熱や腹痛、下痢だけではなく筋肉痛に襲われるようになるんだとか。

イノシシに寄生している寄生虫は旋毛虫だけではなく、旋毛虫と同時に『肺吸虫』にも寄生される可能性が非常に高いです。

これはイノシシがサワガニを食料としていた場合に寄生されてしまう寄生虫で、肺吸虫に寄生されると寄生虫が肺だけではなく眼球や脳に行ってしまい、肝炎や腹膜炎、発熱、発咳、血痰の他激しい頭痛や嘔吐、てんかんの様な発作、視力障害に襲われ最悪の場合死亡してしまうケースもあるんだそう。

イノシシ肉の生食はレバ刺しのように法律で禁止されていないため、保健所の許可なくイノシシの刺身をお客様に提供したとしても店側に罰則はありません。
しかし、ガイドラインを破って提供している形となりますので保健所から何らかの指導がいく事が予想されています。

NHKには危険度の高い誤情報を流してしまった事を一刻も早く認識してもらい、イノシシの刺身を出した店舗名の公開と放送内容の訂正を行ってもらいたいものですね。