怖いけれど温かみのある語り口の怪談で、季節を問わず人気の稲川淳二さん。

今の肩書は「怪談家」と「工業デザイナー」だそうです。しかし、若いころはお笑い芸人として活躍していました。本当は稲川淳二さんがリアクション芸人の初代だったのです。

ほかに、怪談家としての魅力の秘密です。

稲川淳二さんはアメーバブログもあるのですが、更新は長い間されておらず残っている記事も他の人が書いたようなものでした。

それよりも「稲川淳二　オフィシャルサイト」のプロフィールが奇妙に充実していました。

工業デザイナーで怪談家、1947年生まれとあります。
血液型はAB型。

オフィシャルサイトのプロフィール欄には誕生日などのほかに、股下とパンツでのサイズまであります。

モモ周りや靴のサイズ、指輪のサイズまで！とても奇妙です。

これは「プレゼントください」という意味でしょうか。

または、怪談家のファンには信者といえるくらい熱心な人も居るので、頼まなくてもプレゼントを送ってくるのかもしれません。いちいちサイズの問い合わせに答えていたら大変だから、載せたのかも。

芸能人としてのデビューがなぜか公式サイトになくて、デザイナーとしての経歴だけがありました。桑沢デザイン研究所を卒業後、会社員としてデザインの仕事をしていましたが、途中で芸能生活に、そして平成になってから再びデザインを手掛けているようです。

芸能人デビューは、ウィキペディアによると1976年4月のラジオパーソナリティーとしての出演だったようです。

その後、俳優やタレントの仕事も増えていきます。

1980年代の中頃は、第2次お笑いブームといわれる時代でした。

または「漫才ブーム」とも呼ばれていました。北野武さんが「ツービート」という漫才コンビで活躍していたほか、明石家さんま、タモリも人気を博していたころでした。

漫才ブームで人気の出た漫才師と明石家さんまなどのお笑いタレントが出演した、「オレたちひょうきん族」にも、稲川淳二さんはお笑いタレントとしてすでにこの頃から「リアクション芸」を披露していたのです。

ローラーで回され、絵の具をつけられた稲川淳二さん、全てが終わると決め台詞の

「いかがでしたか？喜んでいただけましたか？」

が出て終了。

リアクション芸の最中には「悲惨だなー悲惨だなー」と繰り返し、
終わったら「楽しんでいただけましたでしょうか？」と締めていました。

ドラマの撮影風景も、ネタにされています。監督に段取りを説明され、おびえる稲川淳二さんの動画。

「オレたちひょうきん族」でリアクション芸を披露していたのは、稲川淳二さんと片岡鶴太郎さんでした。

稲川淳二さんが史上初のリアクション芸人でしたが、その後は鶴太郎さんが引き継ぎました。

後に二人とも文化人っぽく変身されています。

もしかして、リアクション芸は文化人への登竜門なのかも。今後のダチョウ倶楽部の行く末も注目ですね。

「おでん芸」はリアクション芸の代表的なものです。

ターゲットの芸人さんに、周りの人がアツアツのおでんを差し出し、逃げ回るターゲットに食べさせるというもの。

熱いおでんを差し出され、「アチッ、アチッ！」と言いながらも食べる芸です。（たぶん温度は、芸のために低めにしてあると思います）このときのリアクションが芸として昇華していきました。

現在は、お笑いユニットのダチョウ倶楽部の定番芸として、季節ごとに様々な食べ物での「おでん芸」が披露されています。

おでんの鍋を最初に目にしたターゲットのうろたえぶりや、「やめろー」と言いながらもおでんに近づいていく定番のアクションは、すでに日本の伝統芸能の域に達しているという意見もあります。

おでん芸は、稲川淳二さんもやっていたはずなのですがとても短期間だったようです。

その後おでん芸は主に片岡鶴太郎さんが演じることになっていきました。

この頃から、稲川淳二さんは方向転換の時期に入っていたのかもしれません。

故・安岡力也さんは、ロックアーティストでしたが、タレントやボクサーもされていた強面の方でした。

稲川淳二さんは、この強い安岡さんと子供時代に知り合っていて「ジャイアンとのび太」のような関係だったそうです。

もちろん、稲川さんが「のび太」でした。この時の体験からのび太的なリアクションを体で覚えていたのかもしれません。

ファンの間では有名ですが、稲川淳二さんの息子さんのうち一人は生まれつきの障がいを持っておられます。

この方が生まれたのは、1986年。次男です。

（1977年に長男の俳優、貴洋さんが生まれています）

噂で、「怪談話を仕事にするから、祟られて次男が障がいを持ってしまった」というのがありますが、時期が逆のように思います。

若いころから、怖い話が得意でしたが、本格的な怪談ツアーがスタートしたのは、次男が生まれてだいぶ経ってから。

お笑いをやめたのも次男が生まれた後で、怪談との関係があまり強くないのではないでしょうか。

これは、全くのひどい噂ということになります。

怪談を録音したカセットテープを1987年に発売したので、怪談を主軸にしはじめたのはこの頃かも。しかし、その前からすでに怪談語りでは有名でした。

次男が生まれた1986年から5年後に、奥様達と別居し、その後に「怪談ツアー」が始まっています。

次男が生まれてから5年というと、1991年ですね。

「怪談の稲川淳二」がスタートしたのは、90年代とみてもいいのではないでしょうか。

稲川淳二さんがお笑いの仕事で忙しく、週に28本もこなしていた頃、次男が生まれました。1986年です。

頭蓋骨の形成異常で、先天性の「クルーゾン病」というそうです。

人によって症状が異なり、稲川淳二さんの次男は頭蓋骨の形の異常のほか、視覚と聴覚と知能にも障がいがありました。

2012年のインタビューでは「我が子を手にかけようとさえ思った」「手術中に死んでくれたらいいのにと思った」という内容の心境を話しています。

何度も手術が必要な病気ですが、最近では3Dプリンター技術を応用した方法も考えられており、治療法も発展しつつあります。

障がい者を持つ親は、一度は「いっそこの子を手にかけようか」と思ったことがあるそうです。

稲川淳二さんがそう思った時、ひどい自己嫌悪に陥ったそうです。同時に、家族が不幸な目に合っても、芸能人は笑っていなければならないという現実に耐えられなくなり、このときからお笑いの仕事をやめたのだそうです。

その後は怪談の仕事のほかに、障がい者支援の活動もされています。

芸能会きってのいい人と評判の稲川淳二さん、実はイケメンだという噂もあり、特に役所広司さんに似ているのだそうです。

他の人には出せない味がある稲川淳二さんの怪談、そして吐き芸とは？

「やだなあ～やだなあ～」
「おかしいなあ～」
という定番の接続語と、

「ギィィィィーッ、カシャーーン」
「トゥルルルッ！トゥルルルルルルッ！」
などの不気味さを盛り上げる擬音が、稲川淳二さん独特の世界を作り出します。

江戸っ子であるため、ときおり急に早口になりますが、これも話の緩急の演出になっていて味があります。

怖い話をしているはずなのに、聞き心地が良くて、稲川さんの怪談を入眠用に使う人もいるようです。

語りは人柄が出るものですが、怖いというより暖かさに包まれるような不思議で聞き飽きない怪談話です。

稲川さんを物まねするときも、これらの言葉を真似されているようです。

11分ほどの短編がありました。

霊を見たり感じたりする力があるとされる、稲川さんですが、霊のいる場所に近づくと吐き気がすることがあるそうです。

「おええええっ！うええええっ！」と大きな声で吐き気を表現する姿に、いつのまにか「吐き芸」という芸であるといわれるようになりました。

怪談イベントで全国を回る稲川さん。

怪談の需要が多い夏以外にも、講演会や執筆で忙しいそうです。

数々のメディアで活躍する稲川淳二さんですが、怪談の持ちネタでは何が人気なのでしょうか。

「生き人形」

知り合いの人形使い師に誘われた舞台で使うはずの人形。

その人形にまつわる人が次々と不幸になる話で、実体験。今も何か起こることがあるため、最近は人前では話そうとしないそうです。

ご本人も自身の話の中でお気に入り1位と話されているそう。

全てを話すととても長いのですが、ファンの間でも時間がかかっても全部聞きたいといわれるほど、人気があります。

「怖いな～ヤダな～」という体験をしたときにも稲川淳二さんを思い出してつぶやくようです。

眠れるのは怪談好きな人だけなのでしょうか？
よく考えたら怖くて寝れなくなるのが正解ですよね(笑)。

この人は怖い話は怖くないようです。

「おかしいなあ～おかしいなあ～」
「あるんですよね～こういうことって……」

と稲川さんの声も出るLINEスタンプ。

相手が音OKな状況なら面白く使えそうです。

LINEで会話していて、しらばっくれたいときなど、この稲川さんの声なら相手も許してくれそうです。

今年も稲川淳二さんの季節がやってきます。