2017年5月12日、金曜日。
浮気騒動などで炎上し、活動休止していた人気Youtuberはじめしゃちょーが、約1ヶ月ぶりとなる動画を投稿して、待望の復活を果たしました。
ツイッターの検索ワードには「はじめしゃちょー」が上位にランクインし、そこで復活を知った人も多いかもしれません。

2017年3月に炎上してから、しばらくネット上から姿を消していた、はじめしゃちょー。
炎上事件の流れと、周辺のYoutuberの支え、裏事情として関係していそうな広告費の話をまとめてみましょう。

久しぶりの動画のタイトルは「ただいま」。
はじめしゃちょーがカメラを見て語りかけるような、いつものスタイルではないところが、リアルです。
動画後半で「そんなテンションではないので…」と言っています。
久しぶりに表舞台に戻ってくるというのは、とっても勇気が必要で怖いことなのでしょう。

昔からよく動画に登場する、カエルのぬいぐるみと会話をするという形になっています。
「カエルの説教」とテロップが出て、「活動休止中にしていたこと」などの会話からみんなが知りたいことを話すインタビュー形式になっています。
（画像：カエル）

このはじめしゃちょーの復活は、多くの人が待ち望んでいたことです。

ファンはもちろん、他のYoutuber、ニュースサイトなど、多くの人が待っていました。

Youtubeには、登録したチャンネルに新しい動画が投稿されると、メールなどで通知が来るシステムがあります。

多くの人やメディアが、「はじめしゃちょー復活した」とツイートしたり、ブログに書いたり、ネットニュースにするため、はじめしゃちょーのチャンネルを登録したのではないかと思います。

実は4月27日に、まずはTwitterに復帰していた、はじめしゃちょー。
動画投稿には復帰していなかったので、多くのファンから「復帰して」とのコメントが寄せられました。

ツイッターに復帰したはじめしゃちょーが、5月9日につぶやいたのは、雑誌「少年マガジン」に掲載される「はじめしゃちょー物語」の宣伝。

漫画家さんも炎上事件の頃には準備を始めていたでしょうし、活動休止はもしかしてこの発売日までと決まっていたのかもしれませんね。

ただ、このツイートに対するコメント欄も「三股で完結したら面白い」「まだそのこと言う？」「いやお前三股されたら許せるのかよ？」など、炎上事件に関することで荒れています。

ざっくりと出来事の流れを説明します。

大学生だったはじめしゃちょーは毎日、Youtubeに動画を投稿していました。
→新しい動画が投稿されるたび、チャンネル登録者のスマホなどには通知が届きます。
→ニベア事件で一度炎上。

はじめしゃちょーのチャンネルといえば「大量購入」「100個使ってみた」「巨大◯◯を◯◯してみた」「スライム風呂」などのダイナミックな検証系です。

大量のニベアを賃貸マンションの浴槽に詰まらせ、「もったいない」という声が上がり、炎上しました。

→チャンネル登録者数が伸び、事務所UUUMに所属。イベントでも一番人気の人気クリエイターになりました。
→2016年3月、大学生だったはじめしゃちょーは卒業してYoutubeで生計を立てていくことになりました。
→2017年2月、事務所UUUMがはじめしゃちょーのファンクラブ「はじめーノ」を発足しました。
このとき、事務所側が入会費・年会費をジャニーズのファンクラブと同じような値段（約5000円）に設定してしまったため、軽く炎上しています。

→2017年20日、 モノ申す系Youtuber「みずにゃん」が、はじめしゃちょーと女性たちのスキャンダルを暴露しました。（モデルの江崎あおいさん・一般人女性のれいなさん）

クリーンなイメージでファンクラブまで作っている国民的Youtuberが女性ファンと関係を持っていた疑いは、女性の若いファンだけでなくネットニュースにもなってしまいました。

→翌日3月21日、UUUM所属Youtuber「木下ゆうか」が「私もはじめくんと付き合ってたんですよ…」と涙ながらに発言し、はじめしゃちょーが浮気をしていたことを暴露しました。

→3月22日、はじめしゃちょーはこの三股事件に対して、謝罪動画を投稿しました。
チャンネル登録者が減りましたが、この動画の再生数は伸びました。

記者会見風に撮影した動画の中で、「女性ファンは家に泊めただけ」と説明。

この動画に関して、事務所ジェネシスワン所属のトップYoutuber「ワタナベマホト」は、暗に「あのレベルの人がちゃんと謝るのはエライ」と昔のコラボ仲間であるはじめしゃちょーにエールを送りました。

暴露から2日というスピードで、ふれにくい話題について素早く謝罪できた勇気は、たしかに相当なものです。

（画像左：マホトさん、画像右：はじめさん）

→3月27日、購入したばかりのゴルフクラブを折る動画を投稿。メーカーから「残念です」とコメントが来る。
→3月30日、UUUMが運営するはじめしゃちょー有料ファンクラブサイト「はじめーノ」にて活動休止を発表。「必ず元気な姿で帰ってきます」と復活を匂わせての活動休止となった。

→4月14日、ジェネシスワン所属の「へきトラハウス」が、事務所の壁をやぶって「はじめしゃちょーの復帰」を願う動画を投稿。

→4月21日、ネクストステージ所属の「禁断ボーイズ」が、渋谷ハチ公前で「はじめしゃちょーにどうしてほしいか」と街頭インタビューして復帰希望を叫んだ。

→ハッシュタグ「#帰ってこいはじめ」をつけたツイート、動画投稿などが各所で発生する。

→4月27日、はじめしゃちょー約1ヶ月ぶりにツイッターに復帰。
→5月12日、はじめしゃちょー約1ヶ月半ぶりの動画投稿で復活。

この1ヶ月半の間、Youtuberはもちろん、ニュースサイトやブロガーたちも「はじめしゃちょー復活」の記事を書くためにチャンネル登録し、動画投稿されたらすぐに通知がいくように準備万端な状態で、待ち望んでいました。

つまり、普段はチャンネル登録しないような人たちも、「チャンネル登録」というアクションに及んだということです。

2017年3月17日、Youtuberにとっては大打撃となる、世界的に大きな事件が起こりました。

人種差別などを叫ぶ不適切な動画に付随して、イギリス政府の広告が掲載されてしまった件で、Googleがイギリス政府に呼び出されました。
イギリス政府は「Googleは差別や偏見を広めるコンテンツを野放しにしている」と指摘。
イギリス政府は、軍の雇用、献血などを呼びかける広告をYoutubeに出していましたが、それらをすべて取り下げました。

これを受けて、ブランドイメージを守るため、次々と大手企業がGoogleに広告を出すのをやめました。
大手広告会社、マクドナルド、トヨタ、ホンダ、スターバックス、ペプシなど、250企業がYoutubeに広告を出すことをやめました。
Youtubeの広告自体が減少したことで、Youtuberは動画をクリックしてもらうチャンスが減ってしまいました。

広告から収入を得ているYoutuberは、収入が大幅に減少。大打撃となっています。

モノ申す系Youtuberであり、プロレスラーとして個人事務所を経営しているシバターさんは、自社の権利とともに、動画チャンネルの権利を売却することも検討中だそうです。

元プロゲーマーのKUNさんなど、他の個人事務所経営Youtuberも、広告収入が激減してしまった件を嘆き、生放送の投げ銭システムなどで起死回生を図ろうとしています。

このタイミングで、現在日本一のチャンネル登録者数を誇るはじめしゃちょーが復帰したことは、事務所にとっても大きいのではないでしょうか。

はじめしゃちょーのチャンネルの歴史を振り返ると、「ニベア風呂事件」の炎上で一気に有名になったような印象があります。
炎上は、事務所にとっても、チャンネルにとっても、プラスではないかと思います。

はじめしゃちょー活動休止と復活、どちらにも一番早くリアクション動画を投稿したYoutuberが、「へきトラハウス」という3人組。

いつもは過激で奔放な動画で、爆食いや嘔吐、視聴者にウソをついて指さして笑うなど、人が不快と思うことをエンターテイメントにするので「イヤな人たち」と思われがちな方向性です。

へきトラの3人は、4月14日にはYoutuber界の沈黙を破り、Youtuberとして初めてはじめしゃちょーの復帰を叫びました。

そして5月12日、はじめしゃちょーが久しぶりに投稿した動画の中で、感謝のニュアンスを込めた発言がありました。

はじめしゃちょーが動画投稿して復活した直後に、へきトラハウスも緊急生中継を5分間行い、復活おめでとうと伝えました。

この「一番早くリアクションをする」というのは、多くの人々が狙っていたことでもあると同時に、Youtuberにとっては非常に勇気のいることでもあります。

Youtubeの世界には、現在3つの事務所があります。

Youtube界のNHK的存在「ヒカキン」が中心人物となっている、クリーンなイメージの大手事務所「UUUM（ウーム）」。
（はじめしゃちょーは、UUUM所属）

ライブやグッズの売り上げも叩き出しているYoutubeの松本人志的カリスマ「マホト」が広告塔となっている、対抗馬「ジェネシスワン」。

（「へきトラハウス」は、ジェネシスワン所属）

そしてとにかくお金を使う大阪の経営者、金持ち「ヒカル」が立ち上げて、お金になりそうなメンバーを揃えている新勢力「ネクストステージ(VAZ)」。

（はじめしゃちょーに対する思いを渋谷で街頭インタビューした「禁断ボーイズ」は、ネクストステージ所属）

はじめしゃちょーはUUUMに所属しておりますが、 UUUMはNHK的存在。
キッズやティーンにも見せられるクリーンな動画を目指しているため、イメージやルールにはかなり厳しい様子。
キッズに見せられない内容である浮気問題、ファンとの恋愛問題で炎上してしまったはじめしゃちょーは、イメージ的な問題もあって「干された」状態になってしまったわけです。
はじめしゃちょーが活動休止を宣言した後、UUUMの事務所Youtuberたちにとって、なんとなく「ふれてはいけない」話題のようになってしまいました。

そんな中、沈黙をやぶったのが、UUUMではなくジェネシスワンに所属している、へきトラハウス。
活動中止を発表した3月30日から約2週間が経った、4月14日に「誰も言わないから、もう言うわ」というタイトルで動画を出しています。
はじめしゃちょーと同じ事務所に所属している人たちにはこの話題にふれにくい空気が流れているため、自分たちから声をあげようと思い切ったようです。

3月にチャンネル登録者数の伸びに悩んで、毎日何本も動画をあげることを決意した、へきトラハウス。
新メンバーとしてジンさんを加入させたり、3年間も伸ばした長い髪の毛を切ってイメチェンをしたり、生放送をはじめたりしていました。

そのときに、視聴者数を稼ぐためにコラボ協力をしていただけませんかと、人気ナンバーワンのはじめしゃちょーに打診したそうです。

へきトラハウスの動画は、過激なものが多い上に、性的なものもあるため、はじめしゃちょーにとってはイメージ的にマイナスになってしまうコラボだったはずなのに、快く受けてくれたそうです。
そのときに「助けてくれたから」ということで、今回もへきトラハウスのみなさんは、全力で応援したそうです。

今回「はじめしゃちょーの動画をあげよう」と提案したのは、へきトラハウスの新メンバー「ジン」さんだったようです。

「相馬トランジスタ」「へきほー」という2人でずっと活動していたへきトラですが、3人めの新メンバー「ジン」さんが加入しました。

「ジン」さんは元々はYoutuberというよりは、事務所ジェネシスワンのマネージャー的な立場だったようです。

ジェネシスワンのトップYoutuber「マホト」さんのブログなどを担当していました。

ジンさんはマーケティング、チャンネル登録者数を伸ばすことに重点を置いている、ブレイン的存在です。

日頃からブログやSNSの運営などで、ハッシュタグの威力をご存知のはずです。

今回多くの人がメッセージを発信するきっかけとなったハッシュタグ「#帰ってこいはじめ」も、ジンさんの発案によるものだったのではないでしょうか。

へきトラハウスがまず沈黙を破ったことで、ネクストステージに所属している人気若手Youtuber「禁断ボーイズ」も「街中ではじめしゃちょーについてどう思うか聞いてみた」という動画を投稿。

メンバーも「（そんなこと聞いて）いいのそれ？」とおっかなびっくり進めているので、Youtubeの動画内ではじめしゃちょーにふれることがタブーのような風潮があった雰囲気がかもしだされています。

渋谷のハチ公前で多くの人にインタビューを行い、「はじめしゃちょーにどうしてほしいか」を尋ねた結果、ほとんどの人々が「動画投稿してほしい」と答えました。

そのあたりから色々なYoutuberが「はじめしゃちょー」「木下ゆうか（はじめしゃちょーの元交際相手）」などの名前を出したり、名前の部分にピー音を入れるなどして、はじめしゃちょーの名前が出されるようになっていきました。

へきトラハウスが発信した「#帰ってこいはじめ」というハッシュタグは広まり、Youtubeにもたくさん関連する動画が作られて投稿されるようになりました。

復帰したはじめしゃちょーは、カメラを直視しないなどの様子から、恐る恐る動画投稿しているような印象があります。

Twitterも「少年マガジン」の宣伝など、やらなくてはならない仕事のために復帰しているのかもしれません。

はじめしゃちょーを暖かく迎えるムードを、殺伐としがちなYoutube内に作ったへきトラハウス、禁断ボーイズ。

過激そうに見える人たちですが、実は心あたたかい良い人なのではないでしょうか。

ちなみにへきトラのジンさん、チャンネル登録者数を上げるという目標のために新加入したメンバーだけあって、動画内でもお金に関することをよく発言します。

事務所側の人間だけあって、マーケティングやイメージ戦略に対する考えもしっかりしているようです。

はじめしゃちょーが「ただいま」と題した復活動画の関連動画には、すぐに「おかえり」とタイトルがつけられたへきトラハウスの動画が出てきます。

ジンさんの優しさは、結果的に知名度向上にも貢献しているはずですし、流石です。

私たちにとっては日々無料でエンターテイメントを届けてくれるYoutuberの皆さんたちが、これからも活動していけますように。