一昔前は寂しさの象徴として挙げられていた“クリぼっち”でしたが、2016年に行われた調査で20代～30代の男女の約半数がクリスマスを一人で過ごす予定だということが判明しクリぼっちが多数派になった事が明らかとなりました。

ここまでクリぼっちが普及した理由として、“クリぼっち専用商品”の普及が挙げられているようです。

クリぼっちとは、言葉通り12月24日～25日のクリスマスを一人ぼっちで過ごす人たちを指す言葉であり、かつては寂しい男女の象徴として少数派の扱われ方をされてきました。
このクリぼっちの立場を避けるためこれまでは『クリぼっち回避のための彼氏・彼女の作り方』などといったHow to書籍も出回り、大いに注目されてきたのですが…。

「おひとりさま」という言葉の浸透もあり、最近はクリぼっちの人間の方が多数派となってきているようです。

画像は大手不動産会社『レオパレス21』が一人暮らしをしている社会人の男女600人を対象として行ったアンケートの結果を棒グラフ化したもの。
「今年のクリスマスは誰と過ごしますか？」という質問に対し、52.2％も人物が『一人で過ごす』と答えています。
次点は『彼氏・彼女と過ごす』のようですが、この回答率は25.8％とクリぼっちの人間の約半分という結果に終わっていました。

さらに、大手アンケート会社『楽天リサーチ』が2016年11月29日に男女1000人を対象として行ったアンケートでも「今年のクリスマスはどう過ごしますか？」という質問に対し45.6％の人間が『いつも通りに過ごす』と回答し、『未定』と答えた回答者を除けば3連休にもかかわらずクリスマスを一人で過ごすクリぼっちが過半数を超える結果となりました。

楽天リサーチでは既に配偶者や子どもがいるはずの40代～60代の人間に理想のクリスマスの過ごし方についてもアンケートされていたのですが、驚く事に40代～50代は4人に1人、60代は3人に1人が『いつもと変わらずに過ごしたい』と答え、家族や恋人とのクリスマス活動を避けたいと考えているようでした。

クリぼっちへの忌避感が薄れ、一人でクリスマスを過ごす若者が急激に増えた理由として、レストランやカラオケ、テーマパークなど様々な場所を自分一人だけで気軽に楽しむ“おひとりさま”が増えた事が考えられています。

これまでクリスマス商品はホールケーキなど家族やカップル向けにしか作られていませんでしたが、最近は画像のような一人用のクリスマスケーキなども多数登場し気軽にマイペースでクリスマスが楽しめるようになっているようです。

画像は東京都渋谷区にある東急ハンズのクリスマスツリー置き場。
東急ハンズはクリスマスの飾りつけを行う人たちにとってかなりポピュラーなお店なのですが、最近は20cm～30cmのミニサイズな一人用クリスマスツリーが大人気であり、今年は去年に比べて一人用クリスマスツリーの売り場を1.5倍に拡張させたのだそう。

一般的に日本のクリスマスプレゼントは男性から女性に渡すのが通例となっていますが、クリぼっちの人々は男女問わず自分が本当に欲しいクリスマスプレゼントを自分へのプレゼントとして購入しており、クリスマスプレゼントが欲しい大人の男性のための『男前クリスマス・マーケット』まで誕生しています。

男前クリスマス・マーケットの売り場には男性向けの渋い色合いをした魅力的な商品が多く並び、若い男性だけでなく年配の男性も自分へのプレゼントを楽しそうに購入しているようでした。

さらに、『クリスマスは恋人や配偶者と過ごすもの』という常識をひっくり返す“禁愛席”を設けた居酒屋まで登場しました。
この居酒屋の禁愛席はカップルや夫婦で来店した客は座る事が出来ず、禁煙席のような扱いとなっています。

そういった商品が充実してクリぼっちが楽しめる環境に置かれた事も勿論ですが、世の中の「クリスマスは彼氏・彼女がいないと駄目だ！」という風にカップル成立を促す動きに違和感や疑問を抱く人間も増えてきているようです。

以前までは寂しい人間と認識され、あまり良い目では見られなかったクリぼっちというおひとり様達。
しかし、マイペースにやりたいことを楽しめるその立場を求める人達は若者を中心に最近徐々に増え始めており、そういった人達をターゲットにした商品やサービスも増え始めています。

自分の思うとおりに何でもできるという充実感は誰かと過ごすクリスマスよりも上なのかもしれませんね。