「石巻3人殺傷事件」とは、当時18才の少年が、元交際相手の少女の家族・知人を殺傷した事件である。

2010年2月10日、石巻市内の民家に少年2人が押し入った。
その民家は、侵入した1人少年Aの元交際相手の家だった。

少年Aは、2階へ上がり寝ていた少女の姉、少女の知人の高校生を複数回刺して殺害した。
凶器の刃渡り18センチの牛刀で、若い女性をメッタ刺しにしたのだ。

その後、その場に居合わせた男性に向かっていき、胸を刺して重傷を負わした。

そして、少年2人は元交際相手の少女の左脚を刺してその場から、車に乗せ連れ去っていく。

車を乗り替え逃走を図っていたが、通報を受けた警察により未成年者略取と監禁で、現行犯逮捕された。

元交際相手の少女は、傷は受けていたものの、軽傷で保護された。

少年Aと少女は2018年8月から交際を始め、子供を設けているが、少年Aからの度重なる暴力で、少女は実家に帰っていた。
実家に帰る前に、暴力の事で何度も警察に相談しに行っていたという。

２人の交際が破たんし少女が実家に身を寄せていたが、少年Aはつきまとっていたという。
警察に相談するも、少女は報復を恐れ被害届の提出を躊躇していたが、事件の前日、少年Aが復縁を迫り、実家に押し掛けた。
しかし、少女の姉に通報され、騒ぎになっていたようだ。

この騒ぎで、少女も被害届を出す決心がついた矢先に、事件は起こった。

少女の姉は、妹からの相談や少年Aの度重なる押し掛けから、何度もAに注意したという。
また、アルバイト先でも「妹が元交際相手とトラブルになっている」と、話しており、周囲にもこの話は知られていたようだ。

事件の前日に押し掛けたAを、姉は妹に取り次がず警察に通報した。
この事がAの殺意を抱かせたようで、「あいつ(姉)を、殺してやる」と、友人に話していた。
また、姉が２人の中を裂こうとしていると思い込んだようで、更に殺意を募らせたようだ。

警察に12回に渡って相談していたという少女。
警察は2回、Aに少女に近づかないよう警告したという。
事件前日に通報した後、警察が駆け付けた時にはAは立ち去った後。
この時に、警察がAを取り締まっていたら、何か違っていたのかも知れない。

検察側の主張は「計画的、強固な殺意があった」と主張。
弁護側は「突発的な殺意」と、争点は殺意はいつの時点で発生したかが、争いの鍵になった。

胸を刺され重傷を負った男性の証言では、「Aは全員ぶっ殺すと言い、次々刺していった」と証言した。

また、共犯の少年Bには実行犯をやれと命令されていたと証言。
このBは他にも、「凶器の万引きを指示された」「皮手袋をはけば指紋が出ないので完全犯罪だと言っていた」と証言。

事件当日、犯行を拒んだBに対してAは「俺がやる」と言って犯行に及んだという。
しかし、凶器にBの指紋をつけさせ、さらにBの衣服を奪い返り血をBの衣服に付くようにした事が明らかになった。

2010年、仙台地方裁判所での判決公判において、「(犯行時に少年だったこと)死刑を回避する決定的な事情であるとまで言えない」とし、少年Aに極刑を言い渡すが、Aの弁護団は、控訴に消極的だったAを説得し不服として控訴した。

2016年6月、最高裁は上告を棄却。
裁判員裁判での死刑判決は、少年事件では初となった。

少年事件で死刑判決は、光市母子殺害事件などあるが、少年Aこと、千葉祐太郎被告が平成生まれ、裁判員裁判での少年事件での死刑判決は「初」となる。

死刑には賛否両論があるが、事件そのものに賛否両論なんてものはない。

ただただ、被害に合った方々、遺族の方に少しでも安らぎの時間が訪れてくれることを祈ります。