カステラは和菓子?洋菓子?

カステラは室町時代末期~江戸時代初期に日本に入ってきた洋菓子が鎖国により独自の発展を遂げたお菓子、いわゆる南蛮菓子の代表格です。カステラの語源はスペインのカスティーリャ地方という説が一般的です。原型は鶏卵、小麦粉、砂糖から作られた素朴なパンとされ、牛乳を使わないことから乳製品を食べる習慣がなかった日本でも定着したと言われています。古典落語「禁酒番屋」での、お酒を「新商品・水カステラ」として武家屋敷に持ち込もうとするくだりからわかるように、カステラは江戸時代を通じて改良が重ねられ、やがて長崎銘菓として定着しました。「カステラ本家」を商標登録する長崎市の和菓子屋、福砂屋は1624年創業の老舗です。

平戸銘菓カスドース

カステラから派生した和菓子もいくつかあります。長崎県平戸の銘菓カスドースもその1つです。「ドース」はポルトガル語で「甘い」を意味し、カステラにさらに手を加えて作り上げた高級菓子です。カステラを卵黄に浸し、糖蜜で揚げたものがカスドースです。乱暴な言い方をしてしまえば、カステラでフレンチトーストを作るようなものでしょうか。当時希少品だった食材をふんだんに使ったカスドースは平戸藩門外不出の幻のお菓子でしたが、今では平戸銘菓として広く親しまれています。海洋貿易の拠点として栄えた平戸は古来より菓子作りが盛んな島であり、1845年に平戸藩第10代主松浦熈の命で記されたお菓子図鑑「東西百菓之図」には、現代と変わらぬカスドースの図案が描かれています。

カステラなのにタルト?

長崎以外の地でカステラが発展を遂げたのが愛媛県松山市の銘菓愛媛タルトです。現代でタルトといえば一般にはパイ生地の上にフルーツを盛り焼いたお菓子のことですが、愛媛タルトはカステラ生地を使ったロールケーキのようなお菓子です。まったく別のお菓子の名前を使うのはおかしいように見えますが、大本のローマ帝国時代の古代ラテン語の “tōrta” は「丸いお菓子」を意味し、ドイツのトルテ、中南米のトルティーヤなども由来を同じくしています。松山藩主松平定行が長崎で食べた「カステラ生地で中にジャムをつめたロールケーキのような菓子」に感動し、その製法を故郷に持ち帰り、餡子を詰めることで和菓子として換骨奪胎しました。以後は久松松平家の間で伝承される菓子でしたが、明治以降は愛媛で広く食べられるようになりました。同様の巻カステラは「かす巻」と総称され、九州各地でも見られます。

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